日本人に生まれながら漫画やゲームを楽しまないのはアメリカ人に生まれながらハリウッド映画を楽しまなかったりスペイン人に生まれながら闘牛を楽しまないのと同じだと思うブログ。

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あんこくまじん編どうすればよかったのよ問題について
まさかのリリエンタール記事3連発。
長い長いと言われてきたあんこくまじん編ですが、
じゃあ短くするにはどこを削ればいいのよ?
ってことで、
まじん編の話の構成要素とかいろいろ解析してみた次第。


漫画に限らず、「物語」の創作活動というものは
まず最初に作者の「書きたいシーン」があって、
そこに繋がるように話を作っていく、というのが常道であります。

そしてその「書きたいシーン」というのは
大概が「オチ・結末」を書いたものです。

今回のあんこくまじん編でいうなら、
恐らく作者の「描きたかったシーン」というのは

・てつこがまじんに追い詰められるが、
・リリエンタールが身を挺して(気絶して)てつこを救い、
・てつこが一瞬だけ心をコントロールしてリリエンタールを救う

という終盤のやりとり、
ならびにそれによっててつことリリの距離が縮まる、
という結末でしょう。


だと仮定して話を進めますと、
この結末にたどり着くためには
必要な「条件」がけっこう沢山あります。

事件が発生するのに必要な条件
・条件1:てつこのトラウマ
・条件2:それを思い出させる存在

リリエンタールがまじんを消すのに必要な条件
・条件3:気絶による解決法の提示
・条件4:容疑者の存在

てつこがまじんに追い詰められるのに必要な条件
・条件5:てつこの心を晴らせる存在の退場
・条件6:気絶手段の抹消
・条件7:「乗り物」の破壊
・条件8:まじんへの物理的攻撃の失敗

以下、詳細な説明。

条件1:てつこのトラウマ
当然、事件のきっかけとなる「てつこのトラウマ」は必要。
同時に、「トラウマ過去話」を作中で披露する必要も生じる。

条件2:トラウマを思い出させる存在
トラウマだけでなく、それをてつこに思い出させる「何か」も必要。

本編では、この「何か」=「うさみ」だったわけですが、
これはてつこの過去に関わりがあれば別に人物でなくてもよくて、
例えば「まだ学校に通っていた頃のてつこの写真」
とかでも話は組み立てられるはず。

が、「何か」を人物(うさみ)にしておくことで
後述する条件4「容疑者」に仕立てられるので、
無駄に登場人物を増やすことなく話を進められる利点があるのです。

条件3:気絶による解決法の提示
リリエンタールの能力による現象を収めるには、

A:犯人の心を晴らす
B:犯人が気絶する
C:リリエンタールが気絶する
D:現象を物理的に破壊する

の4通りの解決策があると思われます。

が、まじん編が始まった段階では、
読者(&てつこ達)はAしか方法を知らないので、
このままの知識でまじん編のラストを迎えると、
リリエンタールの突然のヘッドバットやまじんの消滅を見ても
読者は「なんで??」としか思わない。

従って、
・犯人はリリエンタールを通してまじんと繋がっている
・だから犯人が気絶すればまじんも消える
ということを作中のキャラに説明させておかないといけない。
そうすればリリの自傷行為やそれによるまじんの消滅も
読者の頭にスッと入ってくる。

なので、気絶による解決法に気づく「説明役」が必要になる。
これはもちろん「さくら」で、そして彼は同時に条件2の「うさみ」が
てつこのトラウマを突っつく「動機」の役割も兼任している。

条件4:容疑者の存在
しかし、犯人がてつこだとわかりきった状態で条件3を達成すると、
つまり方法Bの存在に気づくと、ごむぞうがてつこを殴って話はおしまいです。

これを回避する方法としては
・ごむぞうを登場させない
・犯人をてつこ1人に絞らせない
の2つが考えられます。
が、
ごむぞうは後述する「乗り物」&「気絶させ役」として有用なので、
ごむぞうを登場させないというのは話を円滑に進める上でなかなかに難しい。

従って、てつこ以外にも有力な「容疑者」がどうしても必要になるので、
ここで条件2の「うさみ」が再利用されています。

うさみが犯人でない、というのは予想できていた人も多いと思いますが、
うさみの存在はもちろん読者に対してのミスリードでもあったでしょうが、
登場人物達に対してのミスリードでもあったわけで、
「うさみが犯人うんぬんのやりとり」はそう簡単には削れないのです。

条件5:てつこの心を晴らせる存在の退場
てつこがまじんに追い詰められるためには、
てつこ達がまじんに対してとれるすべての「対応策」を
潰しておかないといけない。

例えば、解決方法A「犯人の心を晴らす」を潰しておくために、
「うさみ」はラスト前に退場(気絶)させておかないといけない。
うさみがトラウマの引き金になっているということは、
裏を返せばうさみとてつこの和解により方法Aが達成できるということなので。

同時にうさみを「気絶させる方法」も必要になるが、
これは例えば「まじんの攻撃で気絶」とかでもいいけど、
ごむぞうを利用すればスムーズに解決できる。

条件6:気絶手段の抹消
条件7:「乗り物」の破壊

解決方法Bを潰すために、
(ついでにリリエンタールが「頭突きで気絶」するために)
「気絶させる手段」も抹消しておかないといけない。

また、「逃走手段」を潰すために
「乗り物」も破壊しておく必要がある。

これらの条件は、「気絶手段」「乗り物」の2つを
両方とも「ごむぞう」に任せることで、ごむぞうの破壊で一気に解決できる。

ついでに、人が死ぬ雰囲気ではないこの漫画において、
ごむぞうは「死亡」できるほぼ唯一のメインキャラであり、
ごむぞうの「死」がてつこの罪悪感に上乗せされて
てつこの心理描写により深みが出る、という効果もある。

さらにさらに、
「気絶したリリエンタールをてつこが救う」ためには
リリエンタールは頭突きの際に「高いところにいる」必要があるが、

ごむぞう破壊 → リリ逆上 → まじんに飛ばされて電柱の上に

と、ごむぞう破壊に絡めてリリエンタールに自然な行動をさせて
「描きたいシーン」に必要な状況を満たしている。

葦原先生は「ごむぞう破壊」というたった1つの描写から、
描きたいシーンに必要な様々な条件につなげて処理していることがわかります。

条件8:まじんへの物理的攻撃の失敗
この条件は絶対に必要、というわけではないけども、
超人的強さを持つてつこの「拳法」やリリの「さかな召喚」でも
まじんには通用しないことを描いておくことで、
解決方法Dを潰して、
てつこの絶望・諦めにもより共感できるようになる。

あと「さかな召喚」は
どっちかといえば「今後の話のため」っぽくて、
・リリの発光現象を組織が観測する
・さかなが「死んだ」ことによる「くじら号の物語」への影響
のどっちかがやりたかったからではないかな。



と、いうわけで、
当初の目的である「どこを削ればいいのか」に戻ります。
すでに述べた条件をまとめますと

「てつこがうさみにトラウマを突かれてまじん出現。
(トラウマ回想)
犯人が誰だかわからない状態で、
ごむぞうでまじんから逃げながら
さくらが気絶による解決法に気づくも、
うさみ気絶、ごむぞうは破壊され、
てつこやさかなの攻撃も通じず万事休す、
というところでリリが気絶してまじん消滅、
落ちるリリをてつこが救う。」

まじん編の話の中でも、
上記の流れは必要な要素ばかりなので、
一つ一つを縮めることはできても削ることはできないと思うわけです。

削れるとしたら上記の流れに含まれない
・本屋に行くまでのやりとり
・まじんによる破壊、車投擲シーン
・一般人がいる、壊されたものは直る、という設定説明
くらいではないかと。

これらを削っても、せいぜいまじん編の2話と3話が
一つにまとめられるくらいで、
そう劇的に話を短くすることはできないんじゃないかなあと。

削らないまでも、描写を淡白にして話を縮めるのはできそうだし
(例えばうさみの心理描写とかはもっと短くできそう)、
コマを小さくしたり見開きを使わなかったりすることで
内容をつめこむこともできなくはない。

けども、以前の感想記事でも書いたけど、
次週への引きやページをめくった最初のコマに
インパクトのあるシーンを持ってくる、という漫画的演出の都合で
どうしても話が進められない場合もあると思うので、
どんなに頑張って縮めても
まじん編は全4話にするのが限界じゃないかなと思うわけで。

全4話というのは、基本1話完結のコメディ漫画としては
すでに十分に長いので、(全4話の幽霊船編も長いという意見はいっぱいあった)
無理に話を縮めようとするよりは、何話か増えてしまうことになっても
各シーンの描写をしっかりやる方を選んだんじゃないでしょうか、
葦原先生は。


しかし、改めて話の構成とかを分析してみると、
まじん編は決して無駄な描写、無駄な展開が多いから
話が長くなっているのではなく、
むしろ一つのキャラや行動に複数の物語的役割を持たせていて
上手く話を転がせているなーと感じました次第。

まあでも、やっぱり6話は長いよね。
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テーマ:賢い犬リリエンタール - ジャンル:アニメ・コミック

| リリエンタール考察 | 15:24 | トラックバック:0コメント:0
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